Google Analytics is now handled by MonsterInsights.

子供のやる気を引き出す方法⁉ジュニアアスリートの気持ちを考える

アスリートの母

こんにちは、スイミングインストラクターであると同時に、ジュニアスイマーの母でもあります、きゃめるんです。2人の子供たちは3歳からスイミングを習い始め、気づけば競技大会に出場する選手になり、現在も目標達成に向かって切磋琢磨している最中です。

「うちの子、どうしたらやる気を出してくれるんだろう?」「他のお子さんたちはこうなのに、うちの子は全然…」という声を親御さんから聞くことがあります。実際そんな風に感じている方は多いのかもしれません。どうしたら子供のやる気を引き出すことができるのか?子育てやスポーツの指導において、全ての人に共通する正解はありませんが、今回はジュニアアスリートの気持ちを考えたうえで、競泳を例に私なりの考察をお伝えしたいと思います。

子供にとってのやる気とは?

プールに通い始めた頃はどんな様子だったでしょうか。初めから水が好きなお子さんもいれば、緊張していたり、水しぶきがかかるだけでも嫌というところからスタートしたお子さんもいると思います。それでもだんだんと慣れて色んなことができるようになり、プールは楽しい場所・遊ぶところ、というイメージで通われていたのではないでしょうか。楽しいと思う理由は泳ぐのが好きだからとか、お友達がいるからとか、自由時間におもちゃで遊べるとか、上達するからなど、様々だと思います。小さいお子さんであれば本人に上達している意識はあまり無いかもしれませんが、ただ歩くだけで精いっぱいだった子が潜れるようになり、浮けるようになる、これは劇的な成長です。当然もの凄く時間がかかる場合もありますし、とんとん拍子に進級する子もいます。何においても個人差があるのは当たり前ですよね。これが大前提となります。

楽しいと思うこと

楽しいと感じる基準や内容は人それぞれですが、みんな自分のその時のレベル上で楽しみを見つけているわけですよね。潜れるようになった子は潜れるようになったから楽しい、泳げるようになった子は泳げるようになったから楽しい。まだ水に浮くことさえできないのに、泳ぎの楽しさを知るのは難しいということです。つまり、経験から楽しさを知っていくのです。

もの凄く辛い練習メニューを与えられることで奮起する子もいますし、短い距離の練習なら頑張れる、タイムを読まれると気持ちが入る、得意種目の練習は向き合えるなど、本当に様々な特性がありますので、みんな同じではないのです。どんな場面で「よしっ!」となるかはそれぞれであり、日によっても違うというのが面白いところでもありますよね。基本的に好きというライン上で、グググっと力の出るポイントがあちらこちらに散りばめられているという感じでしょうか。

楽しいと思えることは長続きしますし、また行きたい、次はこうしたい、という欲が出てきますよね。この欲が「やる気」の正体です。やる気の大元は、楽しい、好き、という気持ちがあることがとても大事なんですね。

私が子供たちを練習に送り出す時、「頑張って!」と言う時もあれば「楽しんできて!」とか「気持ちよく泳いできてね!」などと言うこともあります。もしも練習に行く時に冴えない表情をしているお子さんがいたら、こんな言葉を試してみてはいかがでしょうか。気持ちが柔らぐかもしれませんよ!楽しくないことに向かって「やる気を出せ」というのは、はっきり言って無理です。

現在のレベルはどこか

この記事を読んでいる方は、おそらくジュニア世代のお子さんをお持ちではないかと思います。現在のお子さんは、どんなことに楽しさを見い出せるでしょうか。それはお子さんを一番近くで見ている親御さんが最もよく分かると思います。どんな時にいい顔をしているか、どんな話をする時にキラキラしているか、何を言うと嬉しそうか、それが現在のレベルであり、言葉だけでは少々漠然としてしまう「やる気」ということに繋がるのです。

今楽しいことを通り越して、高い目標を持つことはできません。昨日できなかったことが今日はできた!この小さな積み重ねをしていくしかないのが水泳の練習で、それをお子さんがおうちで話してくれるようなら「やる気じゅうぶん」ということですよね。今日も辛かった、今日もできなかった、そういう時期ももちろんありますが、そんな時は前向きな言葉で肯定するだけで良いと思います。水泳の練習は、実際辛いだけのことが多いものです、同じ所をひたすら行ったり来たりで景色も変わりませんから。それをいかにポジティブな言葉で支えてあげられるかが大事です。

そのためには、日頃の練習のことや気持ちなどをお子さんから引き出すことが必要です。「疲れた?」とか「頑張った?」などと言うと、「うん、疲れた」とか「うん、頑張った」で話が終わってしまいがちなので、「今日の練習はどうだった?」から始まり「今日はどんなメニューだったの?」「この前言ってたあの練習、今日はどうだった?」などと、子供の口から話が出てきやすい聞き方ができると良いと思います。「楽しく泳げた?」と聞いてみるのも良いです。どんな風に答えが返ってくるかはその子によって違いますし、お話が好きな子もいれば口数が少なめの子もいますから、その先の会話が広がるかどうかはそれぞれですが、話しぶりを見れば楽しく通えているのか嫌々なのかは分かるはずです。それによって対応を違える必要があり、その判断こそが親の役割ではないでしょうか。

あまり聞かないでというオーラを出しているようなら、ムリに練習の話をしない方がいいかもしれませんね。あまりふれてほしくない時もありますから。

子供のやる気を引き出すためのご褒美作戦は良いのか

スイミングスクールには大抵ジュースやアイスの自動販売機が置いてあります。小さいうちは、スクールの後に食べるアイスが楽しみでスイミングに通っている子も多いですよね。あるいは進級テストに合格したらアイスを買ってもらえるんだよ!と言う子もたくさんいます。同じように競技大会に出場し始めた頃も、小学校の低学年から中学年くらいだと、ベストが出たら○○を買ってもらう!と言っている選手が少なくありません。そういったいわゆる駆け引きのようなかたちで子供たちを頑張らせたいという親御さんの考え方は賛否ありますが、あなたはどう思いますか?

ご褒美は結果に対してではなく気持ちを称えて

目標に向かって取り組むことがワクワクするように、ご褒美というプラスアルファを掲げているわけですよね。練習・大会・ご褒美という流れがあることで、それまでの子供たちの頑張りを肯定する役割があると思います。辛い練習も頑張ったねという労いです。ただし合格したら、とか、ベストが出たら、ということに対してご褒美があるよという言い方をすると、思うような結果が出なければご褒美は無いということになります。それは逆にプレッシャーになったり、前向きな気持ちを削ぐことになり兼ねません。あくまでも頑張るといいことがあるよという、良いイメージを持ってもらうために有効であると思います。

年齢とともにご褒美の意味はスライドしていく

学年が上がっていくにつれ、ご褒美の意味は変わっていきます。例えば、優勝したらスマホを買ってあげるという親御さんがいたとして、本当にスマホが欲しいために日々の辛い練習に耐え、スマホのためにベスト更新を目指す選手がいるでしょうか。彼らの本当の目的は優勝であったりベスト更新であり、その目的を果たした時に達成感を得たうえで、プラスおまけのご褒美を含めて「楽しい」ということを味わうのです。ご褒美は頑張ったことに対する親からの労い・承認・肯定ですから、子供にとっては大事なおまけですよね。重要なのは、ご褒美は目標や目的にはならないということです。たとえジュニアであれ、アスリートはプライドを持って取り組んでいますから、高価な物を目の前に吊るしたからと言って、それがモチベーションにはならないのです。

他人と比べるということ

スポーツをしている以上他人と比較される覚悟は必要です。タイムを競うにしても点数がつく競技でも、差が無ければ成立しないからです。そして自分と誰かを比べることで見えてくる課題や目標がありますし、長所や短所を見つけるきっかけになるなど、自分自身を知り、冷静な判断をする能力を養うためにもとても重要な経験です。問題なのは、親が子供に小言を言う時に他人と比べることです。いわゆるダメ出しの手段として使う場合、何も良いことはないですよね。悪魔のような形相で、自分より良い結果を出している人と比較しながらグチグチと何やら言ってくる…それで子供が奮起するとは思えません。そうではなくポジティブに他人を比較対象とすることは、目標設定・モチベーションアップ・楽しさの発見につながるなど、メリットが多くありますので上手に使いたいですね。

「あの選手、凄く肩が柔らかいね。○○もストレッチしてみようか」と言ってみると、ちょっとやってみようかなという気持ちになるかもしれません。「スポーツ選手は練習と同じくらい食事が大事なんだって、テレビで〇〇選手が言っていたよ」と言うと、憧れの選手に近づけるならと野菜嫌いの子も少し食べてくれるかもしれませんね。先日我が家で話題になったのは、全国でもトップレベルのある選手のターンが物凄く速いということ。「普段の練習で真似してみたら?」と言ってみたところ、「うーん」と言いながら頭の中で練習風景を思い描いているような表情をしていました。実際にやっているかどうかは分かりませんが、練習中にふと思い出す時があればいいなーと思っているところです。

ほとんどのことはすぐに成果が出るものではありませんし、他人の凄さというポイントに関心を持つかどうかもそれぞれの性格や熱量によって違いますから、じっくりじっくり引き出せるといいですね。

子供のやる気を待てない親

過去には酷い親御さんも何人か見てきました。自分の感情を抑えきれず、大会中にプールサイドで子供を叩いたり、更衣室のトイレに連れていき殴ったり。食事を与えず、寝ているところをたたき起こして「怒ってほしいのか褒めてほしいのか、ほっといてほしいのかハッキリしろー」と怒鳴ったという話も(本人から)聞きました。まったく笑えない話ですし、その子は「ほっといてほしい」と答えたそうですが、聞くまでもなく当然ですよね。自分では愛情のつもりなのかもしれませんが、子供にとっても傍から見ても、どうにもねじれた勘違い行き過ぎ親です。そういう経験をした子たちは皆中学に上がる前に水泳を辞めてしまいました。そんな親たちから逃れたかったのだと思いますし、親たちが何を望んでいたのかは知りませんが、望んだようにもならなかったわけですね。子供たちがどんなことに楽しさを見いだせているか、どれくらいの熱量で競技に向き合っているのかをよく分かっていないと、親ばかりが先走って子供の楽しみをつぶし、子供の将来をつぶし、心を折ってしまいかねないということです。親なのだから頑張らせたい、良い結果を出して成功体験をさせたい、そういう気持ちを持つのは当然ですが、親子のテンション、足並みがそろわないと良くない方向にいってしまいますので、子供を親が追い越さないように気をつけたいですね。

結論

世の中の親御さんたちは、子供のために何ができるだろうかと考えます。どんな言葉をどれくらいの強さで言うと響く子なのか、今の現状を踏まえてどれくらい上の話をするのが妥当なのか。競技のことをよく分からない人も、自分も同じ競技をしてきたという人も、思うことは様々であるように、それを受け取る子供たちもひとりひとり違っているわけですから、全員に共通する正解などありません。だからこそそれぞれの家庭で判断しなければならないことだと思います。

楽しく通えているか、その日にあった出来事などを話してくれるか、そういうところを見ていればその子にとっての正解が分かってくると思います。自分がやりたくても出来なかったことを子供におしつけたり、或いは自分と同じように優秀であることをおしつけたりせず、現在のお子さんのレベル=楽しみをよく見つめながら、色々な角度から支えていけると良いと思います。

実際に選手のお母さんにインタビューした記事もありますので、ぜひ読んでみてください。

子供のやる気を引き出す方法は、一番近くで見守っている親御さん自身が楽しくサポートできるかどうか、それがとても大事です。良い時も悪い時も、頑張れる時もそうでない時も、全部まとめて応援してあげましょう。

コメント